める猫、大脱走!
脱走犯、める猫。
「そんな猫には見えませんでしたけどねぇ…」
filming date 2012.11.24
その朝、飼い主は、ちょっと玄関の外を確認しようとしていた。
初めは細めにあけていたドアを、
ぐいっと押して身体を半分出した、そのとき。
私の足もとを、める猫が、風のように、駆け抜けていった。
める猫にとってのなわばりは寝室、居間、トイレとごはんのある部屋。
用心深いめるは、なわばり外に行くときは慎重になる。
その日も玄関から少し遠い廊下の角で、こちらの様子をうかがっていたのだ。
寝間着にはんてん姿の私も、足ガクガクで飛び出す。
めるはマンションの通路を疾走していたが、
数ブロック先で立ち止まり、こちらを振り返った。
目を見開いて、すっかり興奮状態。
そうだ、追いかけるのはいかん。
引き返して、自宅のドアを開けたまましゃがんで「めるちゃ~ん」と呼ぶ。
めるさんはちょっと思案して、そろそろ飼い主に近づいてくる。
でも、もっと探検したいような…という素振りを見せていたが、
いきなり家の中へ駆け込んだ。出て行った時と同じ、最速モードで。
実はめる脱走防止柵も設置していたのだが、
めるの慎重さにすっかり油断して開け放していた。
なんの意味もないやん、馬鹿か自分。
めるちゃん、なんでお外に行っちゃったの。お外はこわいよ。
って声をかけながら、はたと気がついた。
この扉の向こうがお外なんて、めるは認識していただろうか。
飼い主が別の部屋に行っちゃう。今日こそついて行ってやると飛び出したが、
思ったより広いぞ。それに寒いじゃん!
それで、びっくりして立ち止まったのでは…。
(部屋にもどったら大がしてあったので、
脱走はトイレハイの勢いであった可能性も高いのだが)
それにしても、マンションの廊下を駆けていっためるの姿が
脳裏に焼き付いて離れない。
マイクロチップはおろか、首輪も迷子札もつけていないその姿が
どんなに小さく、頼りなく見えたか。
filming date 2013.1.18
そんなわけで、とりあえず友人にもらっていた首輪を装着。
迷子札も買いに行くぞ。
さすがのめる猫もびびったのか、その日はずっと甘えモード。
飼い主の姿が見えなくなると、にゃあにゃあ不安そうに鳴いていた。
ごめんね、めるさん。
これから初心にかえって、ちゃんと気をつけます。
寿命がずいぶん縮んだよ。
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